諏訪葵 個展
まだ見ぬ識閾
Unfelt Threshold
平面世界とインスタレーションの並行
「識閾」 (2011) インスタレーション
水で満たされ仕切りが設えてある水槽に鑑賞者が赤か青のインクを選んで注ぐというシンプルなインスタレーション作品。
「識閾」とは意識と無意識の間の境目を示す言葉であり、「見ること」と「作ること」など、何らかの異なる要素の関わり合いによって生じる現象や領域を見るために制作。
諏訪 葵
1991年東京生まれ。 東京藝術大学大学院 美術研究科 博士課程に在学中。
科学的な現象や概念と自己の知覚や感性が関わる場/接面に着目しており、インスタレーション、平面、映像を中心にメディアを横断しながら作品を制作している。
「まだ見ぬ識閾/Unfelt Threshold」は、アーティストの諏訪葵がこれまでに制作してきたさまざまな作品や現象を「見ること」を通して間接的に結び付ける、実験であり、展示であり、作品でもあり得るようなアートプロジェクトです。
2024年1月にドイツで行ったライブインスタレーションと対話のイベントに続いて、2月17日から5日間の個展を開催します。今回は会場に作品が完璧にインストールされていない状態から展示を開始する公開搬入を行い、インスタレーションと並行して制作している平面作品も展示し、異なる次元/位相を行ったり来たりします。
このプロジェクトは、諏訪によって発表された最初のインスタレーションである「識閾」(2011)のコンセプトを改めて取り扱うことが起点となります。 この作品は透明なプラスチックで仕切られた水槽の中に、鑑賞者が赤か青かインクを選んで注ぐというシンプルなインスタレーションです。鑑賞者がインクを注ぐと、ダイナミックな色の滲みを生み出し、最初は見えなかった境界の存在が徐々に浮かび上がります。 諏訪はこのような実験的な手法を用いて、その場でしか見られない現象に焦点を当てた作品を制作し、現れては消えていく自然現象と人間の知覚する世界の行き来する過程で出現する、「ある動きの中にある境界」を浮かび上がらせるアプローチを展開してきました。 「見える世界」と「見えない世界」、「意識」と「無意識」の間を行き来するような試みは、何度かの行き来を目撃することでその輪郭を表す星の軌道のような、描いては消して仕上げる絵を描く構造のように
「だんだん浮かび上がらせる」というアプローチであり、単純なバイナリーで言い表すことが難しい現代を表現するためのひとつのアイデアです。
諏訪葵 個展「まだ見ぬ識閾
平面世界とインスタレーションの並行」
会期: 2024年2月17日(土)―2月22日(木) ※18日(日)は休廊
時間: [17日] 14:00-18:00
[19-22日] 12:00-18:00
※最終日の22日は15:00まで
会場: TURNER GALLERY
東京都豊島区南長崎6-1-3
本企画は「令和5年度文化庁メディア芸術クリエイター育成支援事業」に採択されています。
企画、制作、デザイン: 諏訪葵